体調を崩す

ここ一ヶ月体調を崩している。咳から始まった風邪は切れるような喉の痛みだけ残していき、それがなかなか治らない。会社は既にとびとびで3日休んでいる。この調子だと今週末の燕岳は難しそうだ。

 

仕事が楽しい。マネジメント層に行って1年が過ぎた。いきなり200名の部下ができて、プレイヤー時代とはやることも目線も全く違ってた。退職者を3名出した今年の5月にはあまりに辛すぎて、駅の階段から落ちたら楽になるかな、なんて考えたりした。誤った判断を部下に謝罪したりもしながら、最近になってようやく、なんとか建て直しできてきた。自分の弱さを認めるのはめちゃくちゃ辛かったけど、才能が皆無な分、色々工夫できる。

 

最近、仕事がもっともっと楽しい。サラリーマンがクリエイティブじゃない、つまらない職業って言ってる奴らをおれは信用しない。おれはサラリーマンは誇って良い職業だと思ってる。仕事は誰でも楽しくできるし、そいつができる工夫にこそ、そいつの個性が宿ると信じてる。腐ってる時間はない。仕事の人生は35年しかないし、ありたい自分と成し遂げたいことはすぐに遠ざかるよな。

 

ここ数年、YouTuberのヒカルを見続けてきたが、彼の姿勢や考え方は非常に面白いし参考にしている。たった一人で哲学してるようなメタ思考がおもしろい。良いと悪いの価値判断に対して慎重で、だからこそ行動が大胆なのだと思う。

 

20190924 ザ・なつやすみバンド@ビルボード東京

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ザ・なつやすみバンドのビルボード東京公演に行った。振休と翌日の午前休まで取得して、準備は万端。初めて行くビルボード東京はラグジュアリーでファビュラスな会場だった。2000円するバジルの冷製カッペリーニ(ウニ添え)がしっかり美味しかったのがなんだか悔しい。この瞬間、この日は財布から福沢諭吉を抹消することを決めた。酒だ!

18時30分に開演。2部構成の第1部、彼らはリラックスしながらも儀式のような手触りで、なつやすみ(終)から始めた。中川さんのヴォーカルと他の楽器のバランスがすごく良かったので驚く。1曲目から期待が上がった。

発散したい気持ちをあえて落ち着けるような序盤の選曲、その4曲目に「またあしたジャーニー」をぶつけてきた。まるで拍子があるような選曲だ。トン、タタントン。

第一部の中後半に「麦ふみ」をやってくれたところで私のテンションは完全にぶち上がった。私が最後に「麦ふみ」を聞いたのは、2012年7月30日のTNB!レコ発@下北沢440。実に7年ぶりだ。あのライブは本当に素晴らしかったからYouTubeを漁ってほしいところだが、あの夜に1番衝撃を受けたのは「麦ふみ」だった。曲の構成が「Try a little tenderness」や「指輪をはめたい」のように変態していく。リズム隊の二人が1番生きていたからか、あの曲のおかげで彼らがライブバンドであることを信じられた気がする。

7年ぶりの「麦ふみ」もやっぱり息していた。7年前に中川さんやみずきちゃんから、初期のなつやすみバンドにおける「麦ふみクーツェ」の影響を聞いたことがある。麦ふみクーツェとは、いしいしんじが書いた音楽の小説だ。小説のなかで音楽が鳴っているように感じた作品で、本当に素晴らしいので是非一度読んでみてほしい。ネズミの雨、詐欺師のセールスマン、大きな鐘、倉庫のオケ演奏、ソープランドチェリスト、そんな物語がこの曲にも鳴っていたかもしれない。新しいアレンジの「麦ふみ」も楽曲の素晴らしさはなにも変わらない。

その後「せかいの車窓から、悲しみは僕をこえて、お誕生日会」の流れはこの夜でもっとも完璧な15分間だった。背景のカーテンが開かれたところで、あの場におけるささやかな祝祭とやさしい幸福は夜景によって積分された。観客の一人は熱いものが込み上げ、えもいわれぬ快感に包まれた。

2部はTerminalを中心にしながら、「パラード、PHANTASIA、映像」からも曲を呼んでいた。かなり斬新なセットリストで、新しい可能性を探っているようにも感じた。喪のビート、ファンタジア、summer cut、ハレルヤ、ユリイカ。いいぞもっとやれ。

サポート陣の貢献も厚い。この日、3-4時間のライブを浴びながら、本当に良い曲がたくさんあるバンドだし、なにより良いバンドであるということを改めて実感した。

TNB!は私の社会人人生とともにあったアルバムで、フジロッ久(仮)と同様に、ザ・なつやすみバンドもまた社会人として生活を送るうえで、温度計のような役割を果たしてくれた。彼らの音楽的な誠実さ、楽曲の素晴らしさは7年経っても変わることなく、いつも揺れ動く自分自身を計るかっこよさの指標として存在し続けてくれた。彼らがいまも音を鳴らし続けてくれることには感謝しかない。

彼らになにかを伝えたかったけれど、あのライブの後にはなにも言えない気がして、TerminalとTNB!のレコード、Tシャツを買って帰った。バンドの皆さん、本当にありがとう&おめでとう!歌う、絵を描く、抱きしめる。おれは山に登ってブログに残すよ。

愛を込めて。HAVE A GREAT SUMMER!良い青春を!

夏の残滓

最近はカネコアヤノ「燦々」をずっと聞いている。アルバムにこんなに気持ちが向かったのは久しぶりだ。まいっちまうような毎日に、新鮮でささやかな力をくれる。セゾンから光の方へにつなげる、暮らしにおける確かさよ。おもわず拳を握ってしまう。圧倒してしまうような迫力や気持ちを歌にのっける表現が卓越している。良い音楽が売れる訳じゃないけどそういうのぜんぶぶっ壊して売れてほしい。

朝の公園で朝御飯を食べながら「燦々」を流した。目の前には近くの保育園から遊びに来た園児数十名がかけっこをしている。芝生の上を走り、一列四名のうちひとりが黄色いゴールテープを切っていく。それをながめながら音を聞いた。平日の朝。外はまだ暑くて、夏の残滓。素晴らしい時間だった。

なんでもないなにか。なんにもないなにか。

タピオカブームも一段落というところで、巣鴨のわらび餅屋でわらび餅ドリンクを買った。さすがに31歳。タピオカブームの中でわらび餅を選ぶようなことで自我を保つような卑近さはもう捨てられている。しかしこれがとても美味しくて、翌週再訪してドリンクとわらび餅、両方を買った。2回目は喉が乾いていて、1分で終わってしまった。売り子のおじさんと山の話で盛り上がった。

王子駅を散歩していると、突然大好きな気持ちが募ってくるときがある。王子にはなにがあるわけでもないのに、なにかがある。なんでもないなにか。なんにもないなにか。そういう曖昧な存在が確実にある気がする。それは渋谷や新宿、少し外れて中野やアキバにはないなにかだ。東京のこういうところが好きだ。

仕事を頑張った日、近所の焼肉屋でひとり打ち上げをした。テール肉が珍しくて頼んでみたら食べづらくて仕方なかった。酒も入れずにとにかく肉だけがっついた。小学生の娘さんが接客してくれて、その対応が自分よりうまかった。後ろの客にクーポンが併用できないので代わりにこちらのサービスはいかがですか?なんて複雑な話をしていてすごいな。最強の人当たりに加えて問題解決能力まであるのかよ。若き才能が育つ街だ。

突然仕事に行きたくなくなる日があって、そうこうしていると確かに気分が悪い気がして、そのままお休みした。申し訳ない気持ちと先週頑張ったじゃないかという気持ちと、両方だった。疲れていたのだ。

近所の汁なし担々麺がおいしいお店に行った。大将がおいしい魚屋について教えてくれた。赤羽の角上魚類というチェーンスーパーなのだが、珍しい品揃えと鮮度が自慢のようで楽しいとのこと。スーパーだいすき。翌日早速行ってみた。確かに品揃えが豊富で、面白い。めちゃくちゃ混んでいて突然訪れた便意がなければ数時間いたかもしれない。おすすめです。
ラーメン屋の「自家製麺 伊藤」に行ってみた。豊島の本店には何度か行っているのだけど、これはこれで十分おいしいけど、1口目の印象で、本店のエグみのコントロールにはちょっと追い付けていないと感じた。別にマウントアピールがしたいわけではない。

台風でベランダの隣との敷居がぶっ壊れてしまっていたので大家さんに報告した。併せて網戸もぶっ壊れていたので直してもらった。先週に田舎のお土産を渡しておいてよかった。大家さん、いつもありがとう。上に住んでて夜たまにうるせえけど結構感謝してます。

生活が大切だ。なにもしていない休日、思い出したように近所の和菓子屋で最中を買って近所の公園で牛乳と一緒に食べた。あっという間に終わった牛乳の白が不安で、商店街を散歩した。移動が充実を作る。

この日食べたその最中がとっても美味しくて、スーパーでも別のやつを買ってみたけど全然おいしくなくて、冷蔵庫の中で残念が勝ってしまった。

探勝路の優勝登山 20190825-27猪苗代駅~磐梯山~裏磐梯

昨年上高地に行ってから探勝路への興味が高まり、色々と調べている内に裏磐梯は日本でもっとも探勝路が集まる場所ではないかと考え、行ってきました。

せっかくなら荷物をすべて自分の足で運びたい。その過程と結果は車で運ぶより不便で豊かだ。不便さとは、過程に時間を掛けるという点で、贅沢な行為と言える。かつて忌野清志郎が言っていた。「本当に必要なものだけが荷物だ」
さいこうの時間を作るためには、自分の足で担ぎ上げるって行為が必要だと思うんですよ。

最近思うのが、登山で大切なことは山に没頭して楽しみきることで、それこそかくれんぼに没頭しておしり隠すの忘れちゃって小熊に見つかるくらいの奴が一等賞だと。

かつてザ・なつやすみバンドは「悲しみは僕をこえて」という曲の中でこう歌った。「歌う、絵を描く、抱き締める、なんでもいい」

それならば、と翻る。歌う、絵を描く、一歩に集中する、花を同定する、写真を撮る、景勝を求める、川に入る、昆虫と遊ぶ、落ち葉を踏む、エサではないメシを食う。なんでもいい。それができた奴だけが、優勝登山を手にできるのだと思う。

テント泊の時にはたまにある。準備しながらやめようかと思うことが。この日もあった。日帰りにしようかなんて。そんな思いを振りきるように夜行バスに乗って猪苗代駅へ。まだ早朝の4時29分だった。ほの暗くて寒い。急いでレインウェアを着込み、発つ。当然タクシーもないのでアプローチは1時間徒歩だ。途中前調べしていたコンビニでおにぎりを6つと水を買った。登山するおじさんが話しかけてくれた。荷物が重そうで心配してくれた。

つい先程まで薄暗かったこの街に、少しずつ朝日が射していく。作り物みたいな鶏の声が聞こえてきて、洩れ出す光があたたかい。道路の脇を流れる水路からは激しい水の音が聞こえている。突然現れた女子中学生みたいな二人がねむたげに挨拶してくれた。良い街だな、そう思った。
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1時間以上かけて猪苗代スキー場登山口へ。アプローチに着くと最後のトイレを済ませた。入る前に作業員みたいな70代くらいのおじいさんがちょうど出てきて声をかけてくれた。

「トイレか?あそこは大をするにはすこし覚悟がいるぞ」
「ほんとうですか、ありがとうございます」

歩き出したは良いものの、登山道の入口が見つからない。疲れてまでタクシーに乗らない選択をしたのは早く出られるからだ。正式な登山コースに戻るまでにめちゃくちゃ時間を使ってしまった。せっかく書いてきた登山届も出せないままだった。登りながら自分の体力のなさを思い知る。特に登る筋力が足りていない。わかっちゃいるけどやめられない。スーダラしていく。とにかく基本に忠実に。行動食と水はこまめに。そして小幅の足取りを意識して、呼吸を深くした。ようやく合流した頃には、汗でびっしょりだった。振り返って見える猪苗代湖を見て、あんなに遠くからここまで来たのかと奮い立たせた。
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赤埴山を越える頃、少し休憩した。いまの体力や懸念事項を地図を見ながら振り返ってみた。コースタイムは余裕がある。14時には裏磐梯登山口まで下山できるし、計画してた通り南側へも西側へもエスケープできる。乗り越えた後の探勝路を歩く自分を想像して気持ちをあげた。しかし、磐梯山の山頂まで行くのは諦めた方がいいかもしれない。ガスっていて眺望は微妙だろうし、ここでの45分は体力と時間の面で下山にリスクを高める。そんな選択に少し情けなさを感じながら沼ノ平を歩いた。すると、あるおじいさんが登山ザックを道に放り投げて、なたで草刈りをしていた。

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「あれー?さっきトイレで会ったお兄ちゃんじゃねえか」
「あっ、どうも」
さっき声を掛けてくれたおじいさんだった。どうやら登山道の整備で草を刈っているようだった。

「それ担いで表磐梯から越えてきたのか、好きだねーあんたも。今日はどこまで行くの?」
裏磐梯まで。どうしてもテント担いで歩いていきたくて」
「はーそれで、磐梯山にも登るの?」
「いや、それはちょっと諦めてます」
「いいんだよそれで。ひとそれぞれなんだから。」

なんだかこの一言に無性に救われ、元気をもらえた。方言も祖父母と話しているようで安心した。それからの足取りは、なんだか勇気が湧いてきて、山を楽しむ気持ちが復活した。そうだった、山は楽しむものだった。おしりを出した子、一等賞だ。

この会話がなぜあんなに力をもらえたのか、色々考えてみたところ、あのおじさんの言葉はやさしかったのだと思う。情けない気持ちになっていた自分を知ってか知らずか、自分のやりたいことを肯定してくれて、それがほとんど誰ともすれ違うことのなかった心細くなる登山道のなかで、とても嬉しかったのだ。

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沼ノ平を越えて、櫛ヶ峰と磐梯山の肩に着く。そこからの眺望が本当に素晴らしく、猪苗代側から臨む表磐梯とはまったくちがう表情を覗かせた。山肌は露出していて、皮膚というより肉や骨が見えているような。赤茶けた、すぐにでも崩れそうな石や土だった。あまりに脆い。そして私のいる肩からは左に天狗岩を配して裏磐梯がばっちり見えた。一面の森の中、左側には桧原湖と銅沼が見える。銅沼はエメラルドグリーンみたいな色をしていた。屹立した櫛ヶ峰の様子はどこか危うげで、この先に破線ルートがあるわけだが、少なくともいまの私では無理だろう。計画通り進んだ。

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水場の先、小屋の手前でお昼休憩を取った。水がうまい。裏磐梯でも感じたが、磐梯の水は本当においしい。今まで行った山のなかでは一番おいしかった。その水で、おにぎりとなすの味噌汁を食べる。テント泊装備の人なんて私以外いなかったので、いろんな人から話しかけてもらえたのが嬉しかった。一人に向き合いたいのと、つながり(人に限らず)を感じるのと、両方あるのが山登りだ。この日「好きだねあんたも」と何度も言われた。テント担いで登るのって楽しくて、誇らしくて、嬉しいんだぞ。

40分ほどは休憩しただろうか、脚はかなり回復した。もう山頂にこだわってはいないので、前向きに下山路に体を向けた。ここからはほぼ平坦と下りの森歩きだ。途中雨が降っていた。雨が降った後の森は、独特な香りがする。尾瀬でもそうだった。茶葉を焙じたような、発酵させたような、それでいてなんにも嫌みがない心地よい香りだ。河川敷でよくある腐った植物の香りではない。ひとつ言えるのは植物が喜んでいるということだ。途中、何度か硫黄の臭いが風に混じってきた。

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この日、登りからずっと背の高い草に挟まれた登山道のため、熊鈴を手動で鳴らし続けている。幸いなことに熊は最終日まで会うことはなかった。ただし何度か、犬が唸っているような、哺乳類の低い呻き声みたいなのが聞こえてきて、怖かった。

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銅沼に着く頃、ちょうど雨が土砂降りになった。周りに木々が多いのでザックカバーを掛けようか迷っている内にいつのまにか晴れていた。スキー場に着くと、大きな松の木があった。その高い高い松の枝にはロープが結ばれていて、ブランコになっていた。たまたますぐ前を歩いていた女性と互いに乗り合い、写真を撮ってもらった。赤埴山あたりで天の庭という場所があったが、この場所こそ、天の庭、神の玉座ではないか。ブランコの台座は少し高い場所にあり、えいやっとジャンプして飛び乗った。高度感がすごくてスリルがある。

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スキー場を下りるとホテルで入浴させてもらった。一日の疲れを流す。下山中、ザックの重さからか、両腕の肘間接周辺の筋肉が炎症してるような痛みがあったが、風呂に浸かるとすぐに消えた。肩と腰には赤い痕がついていた。コーラを飲んで一息ついて、キャンプ場に向かった。余裕があれば五色沼探勝路を巡る計画だったが、湯に浸かっては気分はもう閉店だった。テントを張ってゆっくりしたい。

場所は庄助キャンプ場。湖のほとりにある場所で、ピンク色のミソハギが咲き誇り、その後ろには磐梯山がそびえていた。まるで、アイリスマードック「鐘」に出てくる湖みたいに素敵だった。今日辿ってきた道を振り返る。磐梯山がかつて1888年に小磐梯山の山体を自らふっとばしてつくった裏磐梯の湖に、もし鐘が埋まっていたら。確かに人は死んで村は沈んで、動物も植物も消えた。ただ、その地には新たな生が育まれている。

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この日は、フリーズドライのカレーを食って寝た。疲れていたので20時過ぎには就寝した。

2日目、すばらしいテント場だったので、連泊しベースキャンプとすることとした。今日の主題は探勝路を巡ること。五色沼探勝路を越えて、桧原湖の東側の探勝路を巡り、レンゲ沼や中瀬沼あまりの探勝路を歩いた。

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3日目。探勝路巡りを切り上げて、温泉と食事とお勉強。まずは噴火記念館でお勉強。この2日間、山や森を歩きながら、登山について深めるには「山」や「森」の生い立ち、火山や地球についてもっと知る必要があると気づいた。すべては山に没頭するために必要なこと。その後、キャンプ場近くの香の湯という源泉かけ流しの露天風呂へ。裏磐梯は本当に温泉もコンビにも徒歩6-7分の場所にあって、快適に過ごせる。それがいささか便利すぎてたまに傷という場合には、テントを背負ってくればいいのだ。10時39分のバスで猪苗代へ向かい、そのまま会津若松方面へ。七日町駅の「澁川問屋」という懐石の郷土料理を出してくれる旅館へ。ここで食べた魚が実にうまく、特に棒だら煮は抜群にうまかった。

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椅子とプラムとあんみつと@奥多摩氷川渓谷20190818

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川辺で果物を食べたい。朝起きるとそんな気持ちが募った。奥多摩へ行こう。急いで支度を始めた。まずは保冷バッグにプラムを詰めた。それから椅子も持っていく。電車の時間に余裕があったので近所の和菓子屋であんみつもひとつもらっていった。ホリデー快速おくたま号に乗らないことで開ける選択肢があるのだ。本当に必要なものだけが荷物だ。

お昼、奥多摩駅に着く。思えば奥多摩駅には何度も来たものの、お店でご飯を食べたことはほとんどなかった。今日は山には登らない。柳小道のそば処「おく」にお邪魔した。店先には数人が並んでいた。

店に入ると天せいろと自家製わさび漬けを頼んだ。自家製わさび漬けには山椒の佃煮が添えられていて、これが非常に美味しかった。山椒独特の風味の奥に、フルーティーな香りがやって来る。鮮烈とはこういうことを言うのだろう。これはおすすめなので奥多摩に立ち寄ったときには是非召し上がってみてほしい。

その後、氷川渓谷に降りた。周りは水着で水遊び、バーベキューを楽しんでいる。人もちょうどいいくらいだ。


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私はといえば、川辺の端っこに椅子を構え、腰を落ち着けた。ザックから取り出したプラムをかじる。うめえ。家で食べるよりもうまい気がする。川の音が、そよ風が心地よい。

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続いてあんみつを用意した。色鮮やかな見た目が涼しい。

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ここに黒蜜をかける。白いキャンバスを汚すような背徳感があった。一口食べると黒蜜の甘さが背徳感を加速させた。あんみつの暴力のような甘さに脳がしびれる。中学生のエレキギターかよ。


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山で食べる食事がうまい。食事を求めて登る人もいるだろう。向かう、移動、集う。その移動は付加価値を自ら作り出す行為でもあるはずだ。少なくとも今日、2500円の交通費をかけてこの場に来た。今日のデザートには私にとって3000円以上の価値があったのだろう。その価値を自らの身体で作り出すことは、私は私のために役に立てるし、私には私のために奉仕する価値があるということだ。私は私の荷物になれる。本当に必要なものに。


僕らは薄着で笑っちゃう。2時間ほど、ほとりで過ごす。雨が降り始めるところで帰ることにした。奥多摩駅併設のカフェにてコーヒーゼリーアイスを頼んだ。


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よい一日。

夏休みはやっぱり短い。やりたいことが目の前にありすぎて。夏休みは計画立てよう。人がたくさん集まるところやめよう。

20190812霧ヶ峰、花の旅

20190812、霧ヶ峰へ行った。初心者を連れて歩いたのだが、おれも初心者を連れて歩けるほどには上達したらしい。

連れがスニーカーしか持ちあわせてなくて、かといって登山靴を買うのは本当にやりたくなってからでいいのではないかと考え、スニーカーのまま行くことにした。内心結構怖かったので万一の準備は色々と尽くした。危険だと判断した時点で戻るルールを決め、エスケープルートもよく調べた。結果的には1週間ほど晴れ続きで、懸念していたぬかるみが完全に消えていたのが幸いした。

今回は準備から、「花」に焦点を絞っていた。花にだけ焦点を当てた山行は初めてで、かわいい花を見つける度に立ち止まり写真を撮り本を開いた。これはこれかも!と同定するのは楽しい。把握するって楽しい。性別とか年齢とか、まじで関係ない場所にいる。いや、花の存在がぼくたちを性別とか年齢と関係ない場所に連れて行ってくれる気さえする。

歩きながら出会う昆虫とのお戯れも実に楽しかった。蝶やトンボ、ハチにバッタ。いろんな花の上でお盆してた。そよ風心地よし。右よし、左よし。

笹道を通る度に「お邪魔しまーす」と声を掛けた。山を楽しむやり方は多様で豊かだ。この日、おれは霧ヶ峰をいちばん楽しんだかもしれない。虫が嫌いな連れも最後には虫と遊んでいたのは嬉しかった。

ただ、花や植物が踏み荒らされていたのは少しだけ悲しかった。入らせてもらってる山で、植生に勝る映えとはなんなのだろう。他人のベッドを他人ごと土足で踏み潰す行為だと思うのだが。

それからここ数年、特に夏の時期にGR(コンパクトデジタルカメラ)の収納に苦慮していたのだけれど、ようやく収納システムが完成したのも収穫。手軽に出し入れでき、決して落とさないシステムができた。山のカメラがよりストレスフリーになったわけだ。

ギアにはアライテントのポーチギア「ファストポケットS」を活用。ギア自体は腰ベルトに固定し、ショルダーベルトにもカラビナで確保した。これでギアの紛失リスクを防ぐ。カメラはギアの蓋(マジックテープ)でしまい、念のためカメラのストラップをザックのショルダーストラップに固定した。危険な岩場でなければ十分だと感じた。

このルートは山写さんのブログを参照したんだけど、確かに初心者を連れていくのに向いている。エスケープルートがいくつかあるのも救いだ。晴れが続いたときだけぬかるみは姿を消すが、石も多いので、スニーカーで行くのは極力避けた方がいいだろう。捻挫に備えて、テーピングやストックなどは持っていった。

最後、沢渡の辺りで少しだけ迷ってしまったのは反省点。それから帰りのバスの時間を10分間違えていて乗り遅れかけたのも反省。最後のドジ。

帰り道。特急あずさは当然満席。悲しい未来が見えたので甲府で降りて快適な高速バスへ。のはずが「超渋滞で4-5時間は覚悟してくれ」と言われ急遽キャンセルし鈍行へ。ブロックシートで寿司を食いながら帰ってきた。撮影した花の同定ゲームをしていたらあっという間だった。日差しが強かったけど、良い旅でした。

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20190812霧ケ峰ハイキング